医療コラム

感染対策勉強会を実施しました

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~標準予防策と手指衛生の重要性を再確認~

2025年6月4日、湯河原中央温泉病院では、職員を対象とした感染対策に関する勉強会を実施しました。今回のテーマは「標準予防策と手指衛生の必要性」。丸石製薬株式会社より講師をお招きし、日々の現場で実践すべき感染予防の基本を改めて学ぶ貴重な機会となりました。

手洗いの大切さを“見える化”

講義では、ブラックライトを用いた手洗いチェックも行われました。蛍光ローションを手に塗布したあと、通常どおりに手洗いを実施。その後、ブラックライトに手をかざすことで、洗い残しのある部分が青く光る様子を確認しました。

指先や親指の付け根、手の甲といった部分に洗い残しが集中しており、「洗っているつもり」が実は不十分であったことに、多くの参加者が気づく結果となりました。

また、使用後のタオルの素材によっても衛生状態が大きく異なることが示され、ペーパータオルの活用が有効であることも紹介されました。

感染経路別予防策と手指衛生の重要性

標準予防策では、すべての患者に対して血液、体液、排泄物など湿性生体物質への曝露を想定し、マスク・手袋・ガウン等の個人防護具(PPE)の着用が基本とされます。

さらに、飛沫感染・接触感染・空気感染といった感染経路別の予防策についても、CDCやWHOのガイドラインをもとに解説されました。

特に注目されたのは、アルコール手指消毒剤の有効性です。
消毒剤は短時間で広範囲の微生物に対応でき、非抗菌石けんよりも効果的です。ただし、塗り広げが不十分であれば消毒効果が得られないため、適切な液量と時間を守ることが重要です。

手袋装着時のリスクと手荒れ対策

「手袋をしているから安心」と思いがちですが、実際には手袋のピンホールや脱着時の接触によって病原体が手指に付着するリスクがあります。手袋装着中でも、手洗いや手指消毒は不可欠であることが再確認されました。

また、医療従事者にとって悩ましいのが手荒れです。皮膚の炎症が進むと、かえって消毒効果が低下したり、感染リスクが高まることもあるため、日常的なケアや適切な製剤の選択が必要です。

チーム全体で取り組む感染対策

今回の勉強会には、医師・看護師・介護福祉士・リハビリスタッフ・事務職など、多職種の職員が参加しました。湯河原中央温泉病院では、個々の努力だけでなく、病院全体で共通の意識を持ち、連携して感染対策を実施しています。

――

感染症のリスクは、日常のあらゆる場面に潜んでいます。だからこそ、正しい知識と意識を持ち、手指衛生をはじめとした基本的な予防策を確実に実践することが、安全な医療環境づくりの第一歩です。

湯河原中央温泉病院では、今後も定期的に研修や勉強会を開催し、全職員が安心して働き、患者さまに信頼される病院づくりを目指してまいります。

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